新・とおりみち通信

〜 出歩きあるばむ 〜

舞鶴公園の石垣植物

 
※ 最初に掲載した文面から加筆修正しています。
 
舞鶴公園(福岡市中央区)に行くと私は福岡城址の石垣の隙間を見ます。石垣にはいろんな植物が生えていて、名前(種類)が私にはよくわからないものがたくさんあります。
この2月に石垣の植物をいろいろ撮ってみました。見た目だけでもけっこうバラエティに富んでいます。







 
この時期見つけるとうれしくなるのが、ヒメウズという草です。

在来種で、ちょっと日陰ぎみの所に出てきます。といっても、まちなかではほとんど見かけません。舞鶴公園では石垣や石垣周りで見かけます。もともとこの一帯で世代を重ねてきたのではと思います。春に小さな花を咲かせます。

 
舞鶴公園の樹木伐採と切り株のことをこのブログで取り上げている途中ですが、樹木伐採に関連して私が1つ気になっているのが、石垣の植物への影響です。
先だってのブログ記事で取り上げたように、樹木伐採の目的の1つに石垣がよく見えるようにするためという事項があります。樹木が石垣を隠すように茂っていて、それを撤去することで人が石垣を見ることができるようにしたい、ということかと思います。
ところで、植物はそれぞれ、明るさや風の向き・強さや温度・湿度などの環境条件の好みが異なります。石垣の植物を見ていると、たとえば日なたの石垣と日陰ぎみの石垣とでは生えている植物の種類が違います。それぞれに好適な環境条件があって、そうした条件のもとで植物は生きていられるわけです。
樹木が撤去されるとその近辺の日当たりや風当たり、そして温度や湿度が変わると考えられます。石垣が見えやすいように石垣近くの樹木を取り除いてしまうと、そこの石垣に育っていた植物が生育できなくなる可能性が出てくることになります。
 
場所場所の石垣の様子の違いをちょっとだけ並べてみました。



それぞれの場所で、生えている植物の種類も数もさまざまです。私には、石垣の「表情」を植物が作っていて、場所場所でその場所ならではの「表情」を見せているように見えます。
 
で、伐採工事がちょうど行われていたこともあって、樹木伐採のことを気に掛けていたところ、新聞で、団体のボランティア活動で石垣の草取りが行われたという記事を読みました。花見のシーズンを前に、花見客に石垣も見てもらいたいということで、この時期に草取りを行った、という話が書いてありました。
草取り自体はある程度の頻度で行われているのはいるだろうと思っていたのですが、この春先の時期に草取りが行われると、この時期に花をつける草は繁殖が難しくなってしまいます。私はヒメウズのことが気になりました。
2月のときにヒメウズを見た石垣を訪ねました。ヒメウズだけでなくいろいろ生えていたはずの草が取られていました。

ただ、なにもかも取り尽くされているという様子ではなく(そういう配慮がなされていたのかもしれません)、種類によっては春のうちになんとか新芽を出して復活するのではとも思いました。
 
探していると、ようやく、残っていたヒメウズを見つけることができました。

 

 
※ ヒメウズは石垣だけにいるわけではなく、また今回の草取りは舞鶴公園内の石垣のうちの一部だったようで、後日あらためて歩いてそれなりの数のヒメウズを見ることができました。
ただ、2月に歩いたときにも思ったのですが、今年はヒメウズの数があまり多くない印象があります。私は他の場所で他の種類の春咲き草を毎年カウントしていますが、舞鶴公園でそうした計数調査のようなものが行われているかどうか気になります。
 
きょうも新聞で、石垣を見るのに木がじゃまだという趣旨の意見が載っていました。
これまで草も木も城跡と共に長くその場所で生き継いできたはずで、そのような緑の舞鶴公園が長年にわたってそのありようのまま親しまれてきたのに、何がそんなに変わったのでしょう。
 
人間社会の気まぐれにあんまり左右されることなく、草にも木にも石垣にも穏やかな時間が流れていってくれたらと思います。